- サクラ大戦のテレビアニメが気になるんだけど暗いって本当?
- なぜ暗いの?
- 観た人の評価が知りたい
サクラ大戦のアニメは本当に暗いのでしょうか?
この記事では、著者の私がサクラ大戦のテレビアニメ(以下サクラ大戦TV)を実際に観たのでその疑問に答えます。
※ネタバレ含みますので注意してください。
「サクラ大戦」とは?
はじめにサクラ大戦を知らない人のため少しだけ説明します。
「サクラ大戦」はもともとはゲームです。1996年、セガよりセガサターン用ソフトとして発売されました。ジャンルはドラマチックアドベンチャーです。
原作/プロデューサーは広井王子、脚本はあかほりさとる、キャラクターデザインは藤島康介、楽曲は田中公平、開発はセガです。
恋愛、戦隊ヒーロー、歌、舞台、殺陣、ロボット、蒸気機関、歴史、都市伝説などの多様な要素を織り込んだエンターテインメント大作に仕上がってます。
ゲームストーリーの概要をざっくり説明します。
ストーリーのあらすじ
- 太正(大正でなく太正)12年、日本
- 帝国海軍の士官学校を卒業した大神一郎少尉は、秘密部隊「帝国華撃団」の隊長に任ぜられ、帝都東京の帝国華撃団に入団する
- 行ってみるとそこはなぜか劇場だった
- ガッカリする大神だったが、しかしこの劇場こそが秘密部隊で帝国華撃団の本部だった
- 大神は花組隊長として、個性豊かな6人の隊員をまとめ上げ、悪の組織「黒之巣会」に立ち向かう
また、このサクラ大戦のゲームの大きな特徴としてアニメとゲームの融合を意識した作りであることです。
- 10話からなる構成で各話前半と後半に分かれる
- アニメのようなオープニング主題歌
- 1話終了ごとに次回予告が流れる
サクラ大戦といえば言わずもがな楽曲も有名で、主題歌の「檄!帝国華撃団」は今でも語り継がれる伝説となっています。
サクラ大戦はその後、アニメ化、ラジオ化、ドラマCD化、漫画化、映画化、舞台化へと、メディア展開しました。
本編は2005年の「サクラ大戦Ⅴ 〜さらば愛しき人よ〜」を最後に、移植を除きしばらく続編はありませんでしたが、2019年にプレイステーション4で「新サクラ大戦」、2020年にモバイルで「サクラ革命」がリリースされました。
このようにサクラ大戦は発売から現在まで多くのファンに長く愛され続けている作品です。
TV版サクラ大戦あらすじ
TV版サクラ大戦は、2000年4月から9月までTBSで放送されました。
ストーリーはゲーム版の「サクラ大戦」の1作目がベースになっており、新宮寺さくらの帝国歌撃団の入団から黒之巣会打倒までを描いています。
アニメ監督は中村隆太郎氏、キャラクターデザイン松原秀典氏、音楽は田中公平氏、制作はマッドハウスです。
ゲーム版との大きな違い
アニメ版は独自にゲームとまた異なる脚本と演出で再構成しており、大きな違いは次です。
- 物語のはじまりは新宮寺さくら入団から始まる
- 大神と花組メンバーとの恋愛描写がない
- 天海が登場しない(設定としては登場する)
- 刹那、羅刹、ミロクが最初から叉丹の僕(しもべ)として扱われている
- 藤枝あやめが降魔にならない
登場人物
アニメの主要な登場人物です。ゲーム版とほぼ変わりません。
キャラ設定やデザイン、声優さんもゲーム版と同じですので、原作ファンは違和感なく安心して観ることができます。
- 新宮寺さくら:破邪の力を持つ剣士
- 神崎すみれ:大財閥の娘
- マリア・タチバナ:ロシア人の父と日本人の母を持つハーフ
- アイリス:フランスの大富豪の娘でずば抜けた霊力を持つ
- 李紅蘭:霊子甲冑の開発者・発明家
- 桐島カンナ:琉球空手の継承者
- 大神一郎:帝国華撃団の隊長
- 米田一基:帝国歌撃団の指令
- 藤枝あやめ:帝国歌撃団の副司令
見た感想
それでは著者がアニメを見た感想を書きます。
原作と違う視点で楽しめた
先ほども書きましたがアニメ版はゲームとは少し違う視点で描かれており、それがまず楽しめました。
- 新宮寺さくらが帝国華撃団入りするところから始まり、隊長の大神一郎の入隊するまでの前日談を観ることができる
- 敵勢力の黒之巣会では頭領の「天海」が登場しない。存在自体は語られるものの、敵として出ない
- 藤枝あやめが降魔化せず、最後まで副司令のまま
- 黒之巣会は沙丹を中心に描かれ、彼が山﨑慎之介であった時に降魔戦争で道を踏み外したきっかけが描かれる
- 沙丹と米田が対決するシーンがある
暗いけど華撃団の日常エピソードが多数あり!
TV版は日常メインの話も結構あります。
例えば、第10話の「嵐を呼ぶ女(カンナ)」。超大型台風が来るのを察知したカンナが劇の広告看板を降ろそうと言いますが、すみれ主演の看板だったため、すみれが反対。2人は台風が来るか来ないかで賭けます。
11話の「花組合宿」では、花組が伊豆大島に強化合宿に行きます。トレーニング中に火山が噴火してさくらと紅蘭は崖崩れに巻き込まれ、紅蘭が負傷。さくらは紅蘭に説得され、1人ふもとに救援を求めにいく、という話です。
アニメ版では、最初よそよそしかった花組の隊員同士が、こうした日常話を通じて仲間意識や結束力が徐々に強くなっていく過程を丁寧に描いています。
「暗い」と言われる理由
さて、ここからがこの記事の本題です。
このTV版は視聴者レビューを見ると、一様に「暗い」と言われています。
私が素直に思ったのは、次の3つの理由だと思います。
アイリスが極度に塞ぎ込んでいる
まずはアイリスが暗いです。
ゲームのアイリスは明るくはしゃいでて、かわいらしいイメージが序盤から表現されていますが、TV版アイリスは極度に心を閉ざしてしており、前半はセリフが少なく表情も暗いです。
後半になるにつれてメンバーと親交を深めて明るくなっていきますが、心を開くまでに相当の時間がかかります。
第12話『ひとりぼっちのバースデー』で、メンバーとの友情が一気に深まります。この回、涙なしに見られないくらいに感動します。特に心に残る素晴らしい回です。
ただ、それまではアイリスファンには辛く長い時を待たねばなりません。
恋愛、ギャグが少ない
恋愛要素が皆無で、お笑い要素も少ないです。
ゲームでは花組の誰と恋仲になるかはプレイヤーが選べます。
ですが映像作品でそれをやってしまうと、誰か特定のキャラをひいきにしてしまうことになります。
そんなプレイヤーたちの気持ちに配慮した結果なのか、それとも話に意図的に恋愛要素を排除したのか余地がなかったのかわかりませんが、大神が花組の誰かと恋仲になるような描写はありません。
恋愛要素が唯一あるとしたら、葵叉丹(山﨑)とあやめが過去恋仲であった描写くらいです。これはこれで見どころではあります。
お笑い要素も控えめです。さくらのドジっぷりや、花組に茶化される大神、すみれとカンナの口喧嘩なども、ゲームはしょっちゅうありましたが、アニメでは全編通してギャグ描写は少なめです。
恋愛要素やギャグを省略した結果、戦時下という状況にある緩みのないシリアスな物語になっています。
しかし、ゲームのサクラ大戦はエンタメ作品だっただけにギャップを感じる一番の要素でした。
戦闘シーンの爽快感が少ない
戦闘シーンでも爽快感があまりありません。
スーパーロボットではなくリアルロボット路線寄りに描いているのが特徴です。これはこれで好みなんですけど、戦闘が泥臭く爽快感があまりありません。
花組たちも序盤は霊力を出し切れず、脇侍にすらよく負け、必殺技もゲームのようにバンバン出ません。毎回僅差の泥試合で勝つ感じです。装甲は弱くて、よくへこむし壊れます。
後半、米田司令が行方不明になったり帝国劇場も敵に侵入されて破壊され撤退するなど、戦況も精神的にも追い詰められていき、見ているこっちも精神がすり減りストレスが溜まります。
爽快感があったとしたら、最後の最後の葵叉丹とのラストバトルです。
華撃団の各自の力が最大限に高まりチームとして一致団結を見せたのは、沙丹に追い詰められて絶体絶命になった時です。
最終回でようやくゲームらしい、光武の陣形や必殺技を見ることができます。
シリアス路線が逆効果となってしまったのでは
以上、3点が「暗い」と思う理由ですが、多分制作側はシリアス路線にしたかったんだと思います。
サクラ大戦は「大戦」と名前がついてる通り、「戦争の話」です。
全体的にシリアスにすることによって、日常のちょっとした食事回や料理作り回、誕生日回などの日常の尊さが浮き彫りなっているとは思います。
ですが、ゲームでは恋愛とお笑いと歌謡と爽快感のあるバトルが楽しめるのがサクラ大戦。
アニメでも同じ世界を期待してしまうと、アイリスが暗い、花組同士がギスギスしすぎ、戦闘は泥試合などを見せつけられた結果、「暗い」と思われてしまう原因だと思います。
総評:確かに暗い。しかしゲームとはまた違った視点でサクラ大戦を楽しめる
まとめです。
TV版は「暗い」と思われるような「シリアス路線」ではあったんですが、個人的には原作や設定を大事にした上で深掘りされていて、サクラ大戦の物語を違った視点で楽しめました。
サクラ大戦のテーマ性や作画や演出は悪くないですし、声優さんの演技は言わずもがな、サクラの世界観の素晴らしさを再認識できた作品だと思います。ファンなら一度は観て見てもいいんじゃないかと思います。
サクラ対戦TVは配信でも見ることができます。U-NEXTなら無料期間が1ヶ月あるので、一気見できます。ブルーレイでも販売しています。