新サクラ大戦はなぜレビューが荒れたんだろう・・・。
今回は2019年12月に発売された「新サクラ大戦」についてお話しします。
このゲームは発売以来ユーザーレビューが荒れていました。なぜなんでしょうか。
ずっと気になっていたので実際にプレイしてクリアしたのですが、私が思った感想はこうでした。
新サクラ大戦は「スターウォーズ 最後のジェダイ」に似てるな
なぜ新サクラ大戦を最後のジェダイに似ていると思ったのか、レビューが荒れた原因は何だったのか。
どうすれば良かったのか?
もし今後サクラ大戦の続編を作るならどうすればいいのか?
いくつかのポイントに分けて解説します。
新サクラ大戦とは
私のサクラ大戦歴
はじめに、私のサクラ大戦歴をご紹介します。
- セガサターン版の1と2をドリームキャストの3をリアルタイムでプレイ
- 4、5、リメイクや派生タイトルは未プレイ
- サントラ、歌CD購入歴あり
- 歌謡ショウは1回観劇、他は配信でたまに視聴
- OVA、映画、TVアニメ視聴
- 漫画サクラ大戦読書
熱狂的ファンではないもの、大学時代にリアルタイムでプレイしたので個人的に思い入れのある作品です。
新サクラ大戦とは
さて、本題です。
「新サクラ大戦」は2019年の12月にセガゲームスから発売された、プレイステーション4用のゲームソフトです。
売上本数は国内で18.2万本(ウィキペディア調べ)です。
時は太正時代。特殊部隊の「帝国華撃団」が「降魔」と呼ばれる魔物から都の平和を守るというストーリーです。ジャンルはドラマチック恋愛アドベンチャーです。
第1作は1997年にセガサターン用ソフトとして発売されて大ヒットし、以降「5」まで続編が作られ、アニメ、舞台、映画とマルチメディア展開した人気作品です。
ユーザーレビューが荒れた
「新サクラ」は発売後ユーザーレビューが荒れました。
Amazonのカスタマーレビューの平均点は3.6(2021年3月25日時点)です。
決して悪い評価でもありませんが、低評価レビューをピックアップすると次のようなタイトルが並んでます。
- ★★☆☆☆ 堕ちたSEGAを見た。
- ★★☆☆☆ サクラ大戦は4で終わったんだ…
- ★☆☆☆☆ こんな続編なら出さないで欲しかった
- ★★☆☆☆ 2019年で最もがっかりしたゲーム
不評の理由は、大体次のことにまとめられます。
- 旧華撃団の扱いが雑
- ストーリーがひどい
- フルボイスじゃない
- バトルがつまらない
特に旧作キャラや世界観の扱いが雑なことに対する、シリーズファンの不満が多いように見受けられます。
新サクラ大戦は「最後のジェダイ」に似ている
著者がプレイして思ったのは、この新サクラ大戦のやり方やユーザーの反応が「スターウォーズ 最後のジェダイ」に似ている、ということです。
最後のジェダイのレビューのタイトルをピックアップして、さっきの新サクラのレビューのタイトルと比べました。
『最後のジェダイ』レビュータイトル | 『新サクラ大戦』レビュータイトル |
---|---|
「ここまで堕ちたか、スター・ウォーズ」 | 「堕ちたSEGAを見た。」 |
「私のスター・ウォーズを返してくれ」 | 「こんな続編なら出さないで欲しかった」 |
「最も最悪な映画」 | 「2019年で最もがっかりしたゲーム」 |
「スターウォーズは終わった」 | 「サクラ大戦は4で終わったんだ…」 |
いかがでしょう、似ている気がしますよね。
どちらのユーザーのレビューも同じ言い分で、熱心なファンの悲しい叫びが聞こえてくるようです。
新サクラと最後のジェダイの共通点
これは自論ですが、「新サクラ大戦」と「最後のジェダイ」に共通点は次のように見出しました。
新サクラとスターウォーズに思う共通点
- どちらも最後の作品から長い時間が経過していて、ファンは続編を渇望していた。
- 「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」から「スターウォーズ ジェダイの覚醒」まで10年。サクラ5から新サクラは14年の開き。
- 作品がファンの中で伝説を超えて神格化している。
- どちらの作品も物語の原作者(ジョージ・ルーカス、広井王子)がほとんど関わっていない。
- 制作側は新規顧客開拓のためにキャラクターを一新し、世代交代させようとした。
- のために旧キャラ(花組たちやルークたち)を安易かつ強引に退場(消滅や死亡)させてしまった。
- しかし退場のやり方がまずく、今まで積み上げてきた作品独自の世界観や設定(華撃団構想、フォース)やファンのキャラクターへの愛、美しい思い出を一瞬で瓦解させた。
要するに、新サクラは最後のジェダイと同じように、旧作キャラと世界観の扱いとファンへの配慮がうまくなかったんじゃないか思います。
最後のジェダイもキャラとフォースの扱いが雑だった
あくまで個人的な意見ですが、スターウォーズもキャラとフォースの扱いが雑だった印象です。
スターウォーズのうまくなかったと思う点
- エピソード7から新キャラクターであるレイやフィン、カイロ・レンを登場させる一方、かつ旧キャラクターのルーク、ソロ、レイアも出して、古参も新規も楽しめるようにようにした
- ですが、旧キャラを退場させる方法としてハン・ソロは息子のカイロ・レンに殺され、ルークは弟子のレンと戦い、フォースの力を使い果たして消滅、レイア姫はスカイウォーカーの夜明けで消滅させました。
- ルークがレイが持ってきてくれたライトセーバーを放り投げたり、レイアが宇宙空間に放り出され死んだけど生き帰ったり、レイがライトセーバーをカイロ・レンに転送したり、蘇生させたりするなど、今まで歴代シリーズを見てきた私でも「フォースって魔法だっけ?」と首を傾げる演出が多かった。
確かにフォースは超能力みたいなものですが、決して万能じゃないように丁寧に描写されてきました。
超能力と魔法のギリギリなラインでしたが、そんなJRPGの魔法みたいに万能ではなかったはずです。
旧キャラの性格も別人でした。最後のジェダイの冒頭でルークがライトセーバーを放り投げる描写がありましたが、そんな人物じゃないと思います。
どうも制作がその場の思いつきでジャストアイデアだけでやったとしか思いようがありません。
新サクラ大戦もキャラと世界観の扱いが雑だったのでは
そんなスターウォーズのようなキャラと世界観の取り扱い方い方が、新サクラにも当てはまります。
新花組を出して世代交代を図りつつも、「神崎すみれ」と、「夜叉」という「真宮寺さくら」を思わせるようなキャラを残しました。
この2人が出るのであれば、従来のファンは絶対にプレイしたくなりますよね。
ところが実際プレイしてみると違和感を覚えざるを得ませんでした。
新サクラ大戦の違和感
- 花組は帝都、パリ、紐育華撃団ら戦闘員だけでなく裏方のキャラも残らず消滅している
- 花組から1人取り残され、悲しむすみれの姿が旧作ファンからすると痛ましい
- 「神崎すみれ」がいながら帝国華撃団は低予算で舞台は閑古鳥である
- 他国の華撃団から弱いとバカにされ、敵は降魔なのに華撃団同士でマウントの取り合いをしている
- 「夜叉」って一体何だったの?
これもレビューでよくあった意見なんですが、「神崎すみれ」が過去作とは別人です。
いちおう過去作をプレイし、アニメを見たり漫画を読んでいる私ですが、あの神崎すみれが帝国華撃団に予算がない状態や、閑古鳥が鳴くような舞台を許すはずはない、と思いました。
ですが、本作から作品に触れるユーザーにとっては旧作キャラも初見なので、「こういう人、そういう人」と思いますよね・・・。
新旧ユーザーで評価が割れますし、賛否両論になるのは無理もありません。
世代交代自体は私は悪くはないと思っています。
なぜなら過去にサクラ大戦3という実例があります。
大神一郎を引き続き主人公とし、巴里華撃団を中心に描きながら、かつ帝国華撃団もちゃんと全員登場させて、帝都花組ファンを安心させてくれました。
新サクラも世代交代を試みましたが3のようにいかず、シリーズファンへ配慮が足りてなかったんじゃないかと思いました。
どうすれば良かったのか
新サクラはどうすれば良かったんでしょうか。
個人的にこうあって欲しかったという意見を書きます。
新サクラはこうすれば良かった
- 原作の広井王子さんが総監修する
- あらすじは以下
- 神崎すみれ支配人の元、新生帝国華撃団は今日も帝都の平和を守り、舞台も変わらず大盛況であった。
- すみれは水面下で引退した米田や月組、賢人委員会と連携しながら、幻都で消滅した華撃団たちの救出計画を進めていた。
- いずれあるであろう降魔皇との戦いと花組の強化のため、かつての米田に習って指揮官として花組の隊長として神山誠十郎を召喚。
- さらに各国の上海、倫敦、伯林、華撃団に協力要請する。だがどこも自国のことで手一杯でかつ莫大な予算がかかるため協議は難航していた・・・など。
- 夜叉と旧華撃団について
- 夜叉は降魔皇によって呪いの仮面で操られた真宮寺さくらその人。新華撃団と戦いに敗れ、正気を取り戻し、すみれとともに幻都にいる残りの華撃団救出に協力する。
- 最後ラスボスを倒した後のエンディングで大神、カンナやアイリス、マリア、紅蘭など旧華撃団の影形、声だけでも出演する。
- ここで「1」終了、→「2」へ続けばベストだった。
- アドベンチャーパートについて
- 世界歌劇団大戦キャラ出してしまったのでキャラ渋滞だった。世界大戦はカットして新花組中心としたエピソードにする。
- 帝都の移動をシームレス・帝都をオープンワールドにして再現して欲しかった。
- 花組を写真撮影ができる。
- バトルパートについて
- 無双でもいいがバトルステージは異空間でなく街中にする。
- 戦闘してても団結感ゼロだったので全員で戦うようにし、作戦指示で戦い方を切り替えられるようにする。
- 光武の育成・カスタマイズ要素(武装、カラーリングがいじれる)。
- イベントシーンはフルボイスにする。
- DLCは花組の日常エピソードや歴代の光武機体、装備品。
続編に期待すること
もし新サクラに続編があるとしたら、こうしてほしいという私の意見です。
続編に期待すること
- サクラ大戦の生みの親である広井王子さんに脚本の監修をしてほしい
- 旧華撃団を描いてほしい
- 米田たちも消えた理由も説明してほしい
- 旧花組と新花組が共闘、共演するステージを見たい
- バトルは無双でもいいが、6体全員出撃できて団結できる要素や戦略的要素を入れてほしい。異空間でのバトルはとってつけた感じなのでやめてほしい。ちゃんと帝都の中で戦いをしてほしい。
- 他国の華撃団より花組のメインキャラとのエピソードを充実してほしい
- 絶対悪のわかりやすい敵を最初から出してほしい
- 天宮さくらの師匠の正体を描いてほしい
- 帝劇内の移動はロードなしのシームレスにしてほしい
- 帝都をオープンワールド化して自由に探索させてほしい
- 全キャラモデルを修正してほしい(キャラによって質感が違ってたり、顔や手足の長さのバランスの悪さが目立ってがどうしても気になってしまった)
- 3Dリアルタイムイベント、2Dアニメ、2D+3Dアニメ、一枚絵と、イベントの演出に統一性がなく、静止画については作画が崩壊気味。3Dか2Dアニメかで絵柄を統一してほしい。
- アニメーションにもっとコストをかけてほしい。いまだにサクラ3のオープニングアニメが方が質が上
- イベントシーンはフルボイスにしてほしい
- DLCでもいいが、バトルのない帝劇の日常回を多数用意してほしい
- キャラクターごとの好感度だけでなく、霊力アップ要素→それが戦闘力に影響
- DLCでの光武のカスタマイズ要素
と、以上長々と書きましたが、「新サクラ大戦」は残念な部分はありながら、良い部分もありました。
新キャラクターや担当声優の方々の演技、帝劇の3D化、光武のモデリングはよかったです。
そして何より田中公平先生の音楽は素晴らしかったです。全く色褪せません。
新サクラは失敗だったのかと嘆くよりも新作を出してくれたことを喜びたいです。舞台も復活しましたし!
続編の話はありませんが、いつか出ることを期待していたいですね。
以上、新サクラ大戦のレビューでした。
新サクラ大戦 新価格版 – PS4