Mayaでボールがバウンドするアニメーションを上手に作りたい
基本的なアニメーションの作り方を学習したい
3Dアニメをうまく作れるコツを知りたい
こんにちは、フォックスです!
今回はMayaを使ってバウンシングボールのアニメーションの作り方を解説をします。
3Dアニメをうまく作れなくて悩んでいる方や、Maya以外のソフトを使っている方にも参考になる内容です。
最後まで読んでいただけるとうれしいです。
この記事でわかること
- 今回作ったバウンシングボール
- 3Dアニメの制作工程
- 作る前にしておくべき準備
- アニメに必要なキー(原画)を作る
- タイムスライダで時間を調整する
- グラフエディタで補間を調整する
- 最終調整でこだわる
- まとめ
今回作るバウンシングボール
今回はこんなバウンシングボールのアニメーションを作ります
バウンシングボールのルール
- フレームレートは30fps
- ボールの開始位置は移動X 0、移動Y 10、移動Z 0
- 移動Z方向に転がってやがて止まる
- 回転Xに転がるアニメを入れる
- 移動X、回転Y、回転Zは使わない
- スケールは使わない
- 開始フレームは0、尺は自由
3Dアニメの制作工程
はじめに3Dアニメの工程を解説します
3Dアニメはキー作成と時間制御、補間制御をいっぺんに取り扱うとなかなかうまく作ることができません。
ものすごい時間をかけてがんばって作ったわりに、動きがガタガタなったことはないでしょうか?
そうならないよう、次の工程を段階的に踏んでいくと作りやすいです。
おすすめ3Dアニメ制作工程
- キー作成
- 時間調整
- 補間調整
- 最終調整
1.キー作成
キー作成はいわば2Dアニメーションでいう「原画」の作成です。
この段階では時間やキー間の補間は後回しにして、アニメーションの流れに必要な一連のキー(原画)を作ることを優先します。
2.時間調整
アニメーションの速度やタイミング、全体の尺などの時間を調整します。
タイムスライダでキー(原画)の時間間隔を広げたり狭くすることで調整することができます。
3.補間調整
キー間の補間を調整します。2Dアニメでいうところの動画部分です。
グラフエディタでアニメーションの流れをスムーズにし、必要ならキーを追加したり緩急をつけて、「それっぽい」動きに近づけます。
4.最終調整
最終調整では不自然さ、違和感を解消したりディテールをつめます。
ゼッタイにこれが正解というワケではありません
作る前にしておくべき準備
いきなりアニメに着手せずに、次のシーンの準備をしたり資料を用意しましょう
- フレームレートの設定
- 再生スピードをリアルタイムに設定
- 自動キーをオンにする
- アニメーションの完成イメージ
- 資料
完成イメージは、バレーボールが体育館の床を跳ねるイメージにします。
1.アニメに必要なキー(原画)を作る
キー(原画)作成の工程です
3D空間というのは自由すぎて、ついオブジェクトの位置どりに振り回されてしまいます。
3Dアニメ制作に慣れないうちは、動きを軸ごとに捉えてキーを打つと良いです。
例えば、ボールのバウンドアニメを軸ごとに分解してみます。
バウンドの動きは移動のY軸、直進する動きは移動Z、転がる動きは回転Xで構成されています。
ですので、
- 移動Yにバウンドするキー
- 移動Zに直進するキー
- 回転Xに転がるキー
を個別に打っていきます。
①バウンドするキーを打つ
では移動Yにバウンドするアニメを作ります。
チャネルボックスで移動Y軸以外をロック
移動Y以外で不要なキーが打たれないように、チャネルボックスで移動Y以外をロックします。
開始キーと着地キーを打つ
移動Y軸にバウンドのキーを作ります。
開始位置でボールに1つ目のキー、次に10フレームで着地した状態で2つ目のキーを打ちます。
バウンド回数分キーをコピペする
今打った空中と着地のキーを10フレーム間隔で交互にコピペして、バウンドの回数を増やします。
コピペを繰り返して7回バウンドするようにしました。
なんで10フレーム間隔で打つの?
はじめに解説したとおり、キーを打つ工程は速度やタイミングなどの「時間」はいったん無視します
10フレームにキーを打つのは、アニメに必要な原画用紙をとりあえず並べる作業だと思ってください。
この作例では10フレームにしていますが、何フレームでも構いません。
バウンドの高さを調整
バウンドの頂点のキーをだんだんと低くなっていくように更新します。
2回目のバウンドの高さは1回目より低く、3回目は2回目のバウンドより低くしていきます。
②直進するアニメを作る
次に移動Zに直進するアニメをつけます。
チャネルボックスの移動Zのロックを解除します。
- 開始フレームで1つ目の移動キー
- 最終フレームでボールを適度にZ方向に進めて2つ目の移動キーを打ちます
Y軸のバウンドのキーと違い、移動Zのキーは初めと終わりの2か所にキーを打つだけで済みます。
回転アニメをつける
回転X軸にボールが転がるアニメをつけます。
今回はチャネルボックスでキーを打ちます。
チャネルボックスの回転Xのロックを解除
チャネルボックスの回転Xのロックを解除します。
開始フレームで1つ目のキーを打つ
開始フレームで0でキーを打ちます。
最終フレームで2つ目のキーを打つ
チャネルボックスで適度に回転(1080)を入力して2つ目のキーを打ちます
1回転は360度です。3回転で1080度。3回転するアニメになりました。
回転も開始と終了の2か所にキーを打つだけで済みます。
なんでチャネルボックスで打つの?
打つ数値が決まっている場合はチャネルボックスでキーを打ったほうがはやいです
2.タイムスライダで時間を調整
時間調整の工程に入ります
タイムスライダで等間隔だったキーの間隔を変えて、速度やタイミングを調整します。
調整方法
キーの間隔を変えると、どうして速度やタイミングが変わるの?
タイムスライダのキーの間隔を広げれば広げるほど遅く、狭くすれば狭くするほど速くなります。
例として、下の図を見てください。
このように、開始と終了位置が同じでもキーの間隔を変えると速度が変わります。
キー間隔の調整は次の方法で行います。
キーの移動
キーを選択して移動する方法です。
インビトウィーンの追加、除去
「追加」を選択するとフレームを1フレーム追加します。「除去」は1フレームを除去します。
バウンドの間隔を調整
タイムスライダのキーを移動して、バウンドの着地から着地のキーの間隔を段階的に狭くします。
最後の停止するキーも後ろ倒しに移動しました。
3.グラフエディタで補間を調整
補間調整の工程です
アニメーションカーブを編集してアニメーションの補間を調整します。
調整する内容は次です。
- 補間をスムーズにする
- 緩急をつける
- 必要ならキーを足す
- (今回の場合)ボールらしい弾力を表現する
グラフエディタを開く
ボールのバウンドに弾力が感じられませんので、グラフエディタを使ってつけます。
グラフエディタで移動Yカーブを見てみます。
接地のキーの接線が水平になっており、これが原因で弾力表現が損なわれています。
着地キーの接線を調整
バウンドの着地キーをすべて選択して、「接線の分割」をします。
それぞれの接線を動かして、お椀が逆さまになったような形にします。
再生するとボールが跳ねて動くようになりました。
さて、上のアニメを見て速度に違和感はないですか?
え、速度に違和感?
・・・・・・・・わかりません!!
緩急を調整する
違和感の正体は加減速です。
ボールの速度が最初遅く、途中で速くなり、最後にまた遅くなっています。
これを加速から減速にします。
グラフエディタで移動Zと回転Xのカーブを開きます。
開始フレームのキーの接線の傾きを下の図のように変えます。
これによって、ある程度加速している状態からアニメが開始されるようになります。
減速→加速→減速から、加速→減速の緩急に変わりました。
理屈はちゃんとわからんけど、違和感が消えた気がする!
以上で補間調整は完了です。
最終調整
最後に最終調整の工程です。
最終調整で行うことは主に次の2つです。
- 不自然さや違和感の解消
- ディテールの向上
アニメを繰り返し再生して、そのようなポイントがないか確認します。
ん~・・・わからん!
ぱっとわかる点は次の2つです。
- ボールのチェック模様が終了時に整いすぎている → 機械的 → ランダム感を出す
- バウンドが終盤でいきなり途切れている気がする → バウンドの回数が足りない → バウンドを足す
ということで修正したのがこちら
ボールのチェック模様が傾くようにし回転を調整し、終盤にバウンドを2回足しました。
バウンシングアニメが完成しました!
まとめ
今回はMayaを使ったバウンシングボールの作り方を解説しました。
おさらいです。
まとめ
- 3Dアニメは「キー作成」、「時間調整」、「補間調整」、「最終調整」の順に段階的に工程を踏むと作りやすい
- 「キー作成」では、フレーム等間隔で流れに必要なキーをそろえる
- 「時間調整」では、タイムスライダでキーの間隔を変更して速度やタイミングを調整する
- 「補間調整」では、グラフエディタでキーの補間をスムーズにし、接線を調整して「それらしい動き」にする
- 「最終調整」では、違和感や不自然さを解消したり、ディテールを詰める
参考になれば幸いです。
もしこの記事でMayaが気になった方は、Autodeskのページでチェックしてください。
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以上、フォックスでした!